木を活かす

戦後に植えた植林は、全国的にも多く、この大豊町でも林齢が40~50年の植林が多くを占めるようになってきました。成熟した木は、家などの建築材料として有効利用できます。近年では、枝、葉、単材など山にそのままになっていた部位まで有効に利用できるようになってきました。
 木を活かすためには、木を切り、山から運び出し、所定の場所へ持っていくということが必要になってきます。
 木の切り方も、成長や山づくりなどによって変わってきます。木を間引きすることを間伐といい、木をすべて切ることを皆伐といいます。間伐と皆伐はそれぞれ施業の進め方などに違いはありますが、木を切ってから、搬出するまでの工程を紹介します。


●作業手順

伐倒 → 集材 → 造材 → 搬出(山ー中間土場) → 搬出(中間土場ー共販所)
   → 共販所、チップ工場またはバイオマス発電所



●伐倒

 木を切り倒す作業を伐倒といいます。伐倒にはチェンソーを使います。木を切り倒す方向は、後の作業の集材のことを考えて決めなければなりません。狙った方向に切り倒すのには、かなりの技術力が必要となり、まずこの技術を習得するところから始まります。

  

●集材

 チェンソーで伐倒後、木を集める作業を集材といいます。集材作業は、架線を使用し集材機によ架線集材と、作業道を開設し、そこへ高性能林業(スイングヤーダ、ラジキャリなど)を導入して行う車両集材という方法があります。近年は車両集材を行う現場が増えてきていますが、作業道の開設が困難な場合は架線による集材を行っています。架線の技術も、高齢化により、途絶えてしまった事業体もあるので、若い世代へ技術を伝承していくということが急務となっています。

  

  

●造材

 集材してきた木を決められた寸法に切る作業を造材といいます。こちらも昔はチェンソーで枝を払い、ものさしを当て、造材作業を行っていましたが、現在は、高性能林業機械(プロセッサ、ハーベスタ)で行います。この機械を導入することにより、造材の工程が劇的に短縮されます。

  

●搬出(山ー中間土場)

 造材後の木材は市場(共販所)やチップ工場へと運び出されますが、土質等の関係でトラックが林内で走行するのが困難な場合は、中間土場まで林内運搬車(フォワーダ)を使用します。10tトラックが林内走行可能な場合は、この工程は短縮されます。

  

●搬出(中間土場ー共販所)

 中間土場へ集積された木材は、品質や用途により分けられ、搬出先が決まり、10tトラックで搬出されます。木材はA・B・C・D材に分類され、A材は製材、B材は集成材や合板、C材はチップや木質ボード、D材は林地残材を指しますが木質バイオマスエネルギーの燃料等に利用されています。
 A~C材は共販所へ運ばれ、そこで開催される市により取引されます。C材はチップ工場、D材に関してはバイオマス発電所へ、山から直接運ぶ場合もあります。